新曲”Tattoo”の日本語訳をお目当てに検索されて来られる方が多いみたいなので、一念発起して書き起こしてみましたよ。あまり詩には反応しない性質なもんで、しかもパーティーバンドの歌詞ともなれば酒・ドラッグにお姉ちゃんとのF@ckばかりのおバカ道まっしぐらな内容だろうから(その軽薄さが良いわけだけど)、訳すまでもないじゃない?と実は投げやりな態度で始めました。が、取り組んでみると想像以上に複雑な内容で、なんとも意味深かつ多面的な読みのできるテキストで興味深かったです。どうやら今までにデイブが書いた内容としても、最高峰の難解さと言われているとかいないとか(今までデイブの言っている意味が分かったことあるのかよw、的な書き込みも海外フォーラムにありましたけどね、笑)。「Van Halenの歌詞、特にデイブとなれば……!」という偏見も吹っ飛んでしまって、さすがに初老に差し掛かって欲求をひたすら叫ぶというスタイルからは遠ざかりつつあるのかもしれないです。では、前置きはそこそこに、どうぞ。
タトゥー タトゥー
俺の肘にはエルビスが彫ってある
腕を曲げると、エルビスが話すんだ
俺の脚の裏にはフラガールが彫ってある
歩いたとき、彼女たちが踊るんだ
チェリーレッドに話して
エレクトリックグリーンに叫ぶ
パープル・マウンテインの荘厳さ
本当に話しかけてくるんだ、本当なんだよ
Swap meet Sally(※下に解説あります)
トランプ・スタンプ・タトゥー(※腰に入れる刺青のこと)
マウスワイフからボムシェルへと(※下に解説あります)
その新しいタトゥーを獲得するのに必要だった時間
タトゥー タトゥー
(タトゥー タトゥー)
お前のドラゴン・マジックを見せておくれ
(タトゥー タトゥー)
とっても自伝的なんだから
針が(必要とすることが?)お前を痛めつける(飾る?)ことは信じておきな
この真実の色味の方が、お前の歪んだ美徳よりよっぽどマシだろ
ここで、お前がちょっと考え込むような秘密を教えてやるよ
どうして絶対に口に出して言わないような狂ったことが、詩には書かれている?
赤い悪魔のように話すんだ
ピンク色の昔の写真
パープル・マウンテインの荘厳さ
お前のことを見せてくれ、俺のことを見せてやる
Swap meet Sally
トランプ・スタンプ・タトゥー
マウスワイフからボムシェルへと
その新しいタトゥーを獲得するのに必要だった時間
タトゥー タトゥー
(タトゥー タトゥー)
セクシーなドラゴン・マジック
(タトゥー タトゥー)
とっても自伝的で
(タトゥー タトゥー)
俺をガッチリ捕まえる
(タトゥー タトゥー)
俺を魔術的に虜にする
(ギターソロ)
叔父のダニーは刺青があった
彼は国のために戦った
今でもそういう奴はいるだろう
俺の肩には叔父が過ごしてきた章の
数が刻まれている
その数は永遠のものだ
ここでのいざこざを勝ち抜くぐらいに
Swap meet Sally
トランプ・スタンプ・タトゥー
マウスワイフからボムシェルへと
その新しいタトゥーを獲得するのに必要だった時間
タトゥー タトゥー
(タトゥー タトゥー)
セクシーなドラゴン・マジック
(タトゥー タトゥー)
とっても自伝的で
(タトゥー タトゥー)
俺をガッチリ捕まえる
(タトゥー タトゥー)
俺を魔術的に虜にする
(タトゥー タトゥー)
お前の虜なのさ
(タトゥー タトゥー)
お前のことを見せてくれ、俺のことを見せてやる
(タトゥー タトゥー)
お前のことをちょっと見せてくれ
(タトゥー タトゥー)
(注:英詩の方は一番下に掲載してます)
思いっきり意訳している箇所もあれば横文字そのままな部分もあったりで、どうしても力量不足感が否めないですが(特にグリーンだのピンクだの色が出てくる部分は、何を示唆しているのか調べきれなかった、パープル・マウンテインってマジ何スか?)、そもそも原文として引用している詩自体がファンによる書き起こしでオフィシャルに確定したものでないので、まあ歌の雰囲気だけでも読み取ってもらえるレベルに仕上がっていれば……、とエクスキューズを入れておきます。
それで、海外のVHフォーラムでこの詩の解釈上、最も議論の的になっているのがBメロから始まる”Swap meet Sally”と”Mousewife to bombshell in the time it took to get that new tattoo.”の二つの文で、前者に関してはSwap meet=フリーマーケットの意味があるけれどもSallyって誰よ?と謎に包まれていました。そこでフォーラムを読み込んでいると、なんとこの歌詞の元ネタと思われる絵が発見されていて、まさしくSwap meet Sallyの文字が描かれている!と思わずニヤリとしたくなる大発見がありました。しかも、描かれた女性の足元には歌詞で歌われているフラガールの姿もあって、これはインスパイアされたネタとして確定しても良さそうな情報となっています。海外の特定厨も良い仕事しますね(笑)。ちなみに、この絵の作者であるRobert WilliamsはGuns N’ Rosesのジャケットも手掛けている、恐らくメジャーなアーティストなのでデイブが見ていたとしても不思議はないと思われます。
それで後者の”Mousewife to bombshell in the time it took to get that new tattoo.”に関してですが、MousewifeというのはHousewife(主婦)から派生したスラングで、「一日中家の中でネットをやっている主婦」という意味があるらしいです。それでbombshellの方は俗語として「魅力的な女性、かわいこちゃん」という意味になります(しかも、bombshellを画像検索すると刺青だらけの女性が出てくるので、それにも掛かっているか?)。つまり、引きこもりの平凡な奥さんから、タトゥーを手に入れた派手な女性へと変貌する、みたいなことを歌っているんでしょう。
しかし、ここでもう一説あって、bombshellではなくmomshellではないかという、確かにそう聴こえなくもない指摘が存在します。で、momshellってナニ?となりますが、これはフォーラムの解説員によると「それはいわゆるMILFで……」ということでした。「MILFって?」という人はググってもらってと言いたいところですが、むしろこれを言いたくてmomshell説を引っ張って来ている部分もあるので書きますと、MILFとは「Mother (または’Mom’) I’d Like (to) Fuck」の頭文字で、「ママ、ファックしたい!」ということは近親相姦なん?と思いきや実際の母親である必要はなく年上の女性、つまり熟女好きを指すスラングになるらしいわけです。
でも、この説よりもやっぱりbobmshell説の方がストレートで支持し易いんじゃないかと思ってたんですが、さらに調べていると”Momshell power”というタイトルの記事が”NEW YORK POST”に2010年1月10日付けで掲載されていて、その中になんと”From Mousewife to Momshell”というふうに、セクシーな女性へと返り咲く主婦・母親を形容するフレーズとして書かれているんですね。つまり認知度という意味では” Mousewife to Momshell”に軍配が上がる可能性も高く(逆に言えば、”Tattoo”で初出の言葉の繋ぎ方ではないことにもなる)、そのうえ一般紙で取り上げられる単語というからには卑猥なスラングというばかりの意味でもないらしい”momshell”の方が、全体の詩のバランスを考えると座りが良いと言えるかもしれなくなってくるわけです。まあ、どちらにせいよ、そこまでかけ離れた意味にはならないんですけどね。
このように、議論になっている箇所だけを追ってくると、詩の全体像の解釈が漠然としたままだと思われますので、フォーラムで一番支持されていた解釈をここに訳して載せて起きたいと思います。
vhlinks
I think, given the end verse, that the first verse is not “Dave” talking… it’s the voice of the “old school” that used to get tats in the 50s… many of us had uncles, grandfathers, men who were blue collar or had been in the pacific ars that had tats, and would say things like ‘I can make her dance’ referring to the pinup tattoo’d on their arm. To the point where it was kind of a cultural cliche/touchstone.
Then it goes into the ‘trendy’ tat culture, where there’s this whole ‘transformative’ perception of it… people going into Miami Ink, etc thinking that getting a tat will make them ‘deep’, or ‘bad ass’, or ‘in touch with their ‘primitive self’ when in actuality it’s just surface.
Then the last verse goes into someone who has gotten tats as a memorial, a sacred kind of commemoration of something they hold deep to their heart. Not fancy or illustrative or loud. Just simple marking.
So, (in my read) it’s not Dave talking about HIS tats, or the tats of some girl he wants to do, it’s a cultural swath of the types that get tats (or have gotten tats) and their motivations in doing so.
最後の詩の節から考えると、最初の方はデイブが自分のことを歌っているわけではないんだと思う。つまり、それはうちら(40~50代?)の叔父さん・お祖父さんにあたる世代の、ブルーカラーとか太平洋戦争を戦った男たちが、自分の腕に入った刺青に向かって「俺も女を躍らせられるぜ」みたいな軽口を叩くような感じで、つまりその時代のクリシェというかお決まりみたいな瞬間を歌ってわけだよ。
それで、そのあとはいわゆるトレンディーな「流行りモノ」としての刺青について歌っている。つまり古き良き時代・文化としての刺青から、マイアミ・インクみたいな刺青に走って、それを彫ると深い部分の自分に触れた気分になって「カッケー」って思う今風の感覚になったわけだ、実際のところ表面的な話でしかないのに。
最後のタトゥーの話は、記録としてそれを彫っている人の話になるんだ。心の深いところから何か神聖な記念として刻まれているものとして。だから派手さとか柄物っぽさからは無縁なんだよ、単純に心に留めておくマーキングとして彫られている、そんな人間の話だ。
そういことで、これはデイブが自分に彫られている刺青のことを歌っているって話じゃないんだよね。もちろん、彼が惚れてる女の刺青の話でなんかでもないわけさ。これは、刺青を入れてしまう人間たちそれぞれの動機の一面を切り取った話が紡がれている詩なんだよ。
Van Halen “Tattoo”
Tattoo, tattoo
I got Elvis on my elbow.
When I flex, Elvis talks.
I got hula girls on the back of my leg.
And she hulas when I walk.
Speaking cherry red
Screamin’ electric green
Purple mountain’s majesty
Really talk to me. Talk to me, babe.
Swap meet Sally
Tramp stamp tat
Mousewife to bombshell in the time it took to get that new tattoo.
Tattoo, tattoo
(Tattoo, tattoo)
Show me your dragon magic.
(Tattoo, tattoo)
So very autobiographic.
Best believe that needle(need will?) hurt(art?) you.
Best to see these true colors, than to follow one of your false virtues.
Here’s a secret to make you think:
Why is the crazy stuff we never say, poetry in ink?
Speaking devil red,
Ex photo pink
Purple mountain’s majesty
Show me you, I’ll show you me.
Swap meet Sally
Tramp stamp tat
Mousewife to bombshell in the time it took to get that new tattoo.
Tattoo, tattoo.
(Tattoo, tattoo)
Sexy dragon magic.
(Tattoo, tattoo)
So very autobiographic.
(Tattoo, tattoo)
Got a hold on me.
(Tattoo, tattoo)
Put a spell on me.
(Solo)
Uncle Danny, had a coal tattoo
He fought for the unions
Some of us still do.
On my shoulder is the number
of the chapter he was in.
That number is forever
like the struggle here to win.
(Everybody!)
Swap meet Sally
Tramp stamp tat
Mousewife to bombshell in the time it takes to get that new tattoo.
Tattoo, tattoo.
(Tattoo, tattoo)
Sexy dragon magic.
(Tattoo, tattoo)
So very autobiographic.
(Tattoo, tattoo)
Got a hold on me.
(Tattoo, tattoo)
Put a spell on me.
(Tattoo, tattoo)
I’m in love with you.
(Tattoo, tattoo)
I’ll show me, show me yours.
(Tattoo, tattoo)
Let me take a look at you.
(Tattoo, tattoo)