11月に入ってしまったけど10月の読書記録。では、ささっと更新していきましょう。
『少年事件』は初版2003年の少し古い本だけど、第3章の「父に砕かれた命」がかなり面白い。小説みたいな体裁で、しかも作り話以上に奇妙な家庭内の人間関係。子供の暴力に2年間も抵抗せずに耐え抜いた末に、最後はバットで殴りロープで絞め殺してしまう父親の事件に至るまでの過程が書かれている。息子の暴力を受け止めてやることが快方へ向かう唯一の道だとかたくなに信じて、足蹴にされて鼻の骨を折られようが無抵抗主義を貫く、でも最後には我慢の限界が来て息子を自ら殺してしまう極端な振れ幅はいったい何なのだろうか。
後半ではそれぞれの事件に対する精神科医や弁護士などの意見や解説が載っていて、単なるルポに終わらない引き締まった作りの仕上がりに貢献してる。「まず、家庭内でも加害者と被害者が出るのだという当たり前のことに気付くべきだ。(中略)殴られる親たちの『シェルター』というのも必要になってくる」というのはもっともな話。
湊かなえはエンタメ系なだけあって多作だね、『贖罪』読んでる間に『母性』が出ていた。