前回は「ZQN」って言葉が素晴らしいと絶賛してたけど、今回も思いっきり2chネタ満載でやっぱり素晴らしいなと、それにあのUIを見ると変な安心感がある(笑)。掲示板の書き込みでZQNに浸食されつつある全国の様子を読者に俯瞰させてしまう方法は手際がいいし臨場感もあるしで上手いよね。本来、字面だけでストーリーを描くのは漫画的に反則気味だと思うけど(反則というか、説明的になりがちで興醒める)、2ch形式だと自分が読み慣れているせいかストレスも無いし、「作者、手抜きw」という感じもしないのが面白いところ。ネット回線がつながっている限り、あの状況なら2chとかで情報収集しようとする展開自体が自然な流れってこともあるけど、スレッド再現度のクオリティが高須クリニックで読み物として楽しめてしまうわけだから、手抜きどころかむしろ手が込んでるのか。ヒッキーだからこそZQNに襲われず助かってしまって2chを見ていられるというのは、童貞ダメ男子のルサンチマンにクローズアップし続ける花沢ワールドらしい着眼点。
10巻では、いままでYoutubeの映像などで出てきていた「来栖」がいよいよ登場、「久喜幕府」とか話の規模が大きくなりそうな雰囲気に不安要素が無いこともない。あまりにマクロな視点になり過ぎたり、やたら組織力の高い集団が出てきたりすると、ゾンビもの特融の閉塞感とか不自由故の恐怖とかのバランスが崩壊して失速することが多いと思うんだけど、さあどうなるか。で、ストーリーの流れとは全く別の話だけど、小田さんのお漏らしシーンに「!?」という意外性を突かれて、その後すぐにピンときたという(笑)、目覚めないように気を付けよう、いや目覚めてもいいか。自分の作った水溜りでタバコの火を消すっていうのは、いまだかつて見たことないけど、オリジナルなのかそれとも何か元ネタみたいなものがあるのか知りたい、どうやって検索すればいいのか。
アイアムアヒーロー 10 (ビッグ コミックス)花沢 健吾 by G-Tools |