『ザ・レイド』:閉鎖空間としての高層ビル

ギャレス・エヴァンス監督『ザ・レイド』

第36回トロント国際映画祭で好評価を得て話題になったインドネシア産のアクション映画、ハリウッドでのリメイク、さらに松田龍平など複数の日本人キャストを迎えての続編「ザ・レイド2 ベランダル(仮題)」の制作も決定と勢いがあります。内容は廃墟ビルを丸ごと一棟占拠した麻薬王とそこに巣食う犯罪者たちに戦いを挑むSWATたちというもの。女っ気ゼロの男たちだけによる熾烈な抗争と殺し合い、この華の無い純度100%の血生臭さが逆に新鮮味があって良いのではないかと。ギャレス・エヴァンス監督によると「予算が集まらなくて仕方なくランクを下げて撮った作品」ということですが、むしろそのおかげでアクションとしての見やすさが先鋭化したのではないでしょうか。

ストーリー
悪行の牙城として荒廃した高層ビルを占拠する麻薬王リヤディとその手下たち、この難攻不落とされる犯罪者たちの巣窟へとジャカルタ警察のSWATチームが戦いを挑む。妊娠した妻を残してチームに参加するラマ、彼にはSWATとしてのミッションを遂行する以外にもある人間を奪還させなくてはならない個人的な任務を背負っていた。

ギャレス・エヴァンス監督『ザ・レイド』構成がどストレートなので、破綻したプロットを生暖かく観賞するといった楽しみはないですが、アクション・シーンの力強さは評判通り。というか、ほとんど全編通して闘ってるわけですが、それぞれ意匠を凝らした内容で飽きないです。銃撃戦とか、ナイフを持ってスパスパ殺していく格闘シーンとか、2対1のクライマックスとか……、まあこの高層ビルという閉鎖空間で戦わないといけない制約が良い緊張感を生んでいるので、どんな演出でも(失礼!)生えて見えるのかも。ギャレス・エヴァンス監督『ザ・レイド』観ている側としてもチームが階を上るほど追い詰められている感じが視覚的に分かりやすくて、「ああ、もう後戻りして外に出るのはムリだよね」っていう絶望感が認識しやすいです。学校モノとかゾンビモノとか色々なジャンルに当てはまるけど、制約としてのうまい閉塞的な空間を作るのは超重要事項だと思われます。制約が制約として機能していないと一気にB級感が高まってくるからね。アホな舞台でバカをする愚者を笑う醍醐味もありますけど、「とりあえずそこから逃げろよw」みたいな(笑)。でも本作はその辺の舞台設定が巧かった!って思いましたけど、そう感じるのも悪の手に落ちた高層ビルの実例として、南アフリカ・ヨハネスブルグのポンテシティアパートの存在を知っていたからもかも。




ザ・レイド(2011)
THE RAID
監督: ギャレス・エヴァンス
上映時間 102分
製作国 インドネシア
公開情報 劇場公開(角川映画)
初公開年月 2012/10/27
ジャンル アクション/格闘技
映倫 R15+
強すぎ!殺りすぎ!敵多すぎ!

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