『高速ばぁば』:高速で移動する理由を教えて!

反吐が出るほどの禍々しいタイトル付けと、実際の事件を題材にしつつも男子生徒→女子生徒という意図的な改変などの「狙った感」が批判の的となりネットで小規模炎上を招いた『先生を流産させる会』。その監督、内藤瑛亮による新作ホラー作品ということで、また何かやらかしているのではないかと期待しての鑑賞。

ストーリー
3人組のアイドルグループ「ジャージガール」たちは、ある番組ロケのために廃墟化した老人ホームを訪れる。ロケ前にジャージに仕込まれたホッチキスの針で頬に傷を負ったアヤネ(未来穂香)は、廃墟内での一人肝試しの撮影中、高速で移動する老婆の影を見てしまう。ロケ終了後、アヤネの頬の傷は悪化し続け、残されたメンバーのナナミ(北山詩織)、マユコ(後藤郁)さらには女マネージャーやディレクターの身にまで、不可思議な現象と災厄が次々に巻き起こる。過去に老人ホームで行われた蛮行の被害者となった老婆の呪いに原因があることを突き止めたナナミとマユコは、再び廃墟へ向かうことになるが……。

Yahoo映画のレビュー見たら、「やる気あんのかよ」、「最低最悪」とか書かれてます(笑)。せっかく『先生を~』の流れで注目されている監督なのに、もったいないですね。冒頭のナナミが嫉妬心でアヤネのジャージにホッチキスを仕込むシーンなんかは(実はマユコが命令していた)、ホラーだけじゃなくて人間関係のドロドロした部分も描いた作品なのかなと期待を持たせる良い掴みになってるのに、その後の展開はかなり淡泊な人間模様に収束してしまっていて、それももったいない感じでした。

なにより最大の戦犯は、高速ばぁばの作り込みの弱さでしょうか。なぜ走る必要があるのか、呪いの方向性は誰に向かっているのか、どうすれば成仏してくれるのか、謎の多さが怖さを完全に圧倒してます。諸悪の根源は老人たちを虐待した院長とスタッフたちにあるのに、その恨みを掛け出しのアイドルに全力で向ける理由もないわけで、ただの逆恨みでは……?と「呪い」の無軌道っぷりに翻弄されてしまいます。Wikipediaによると『設定はターボばあちゃんとひきこさんと鬼婆をモチーフにしている』とのことらしいですが、怨恨が募ると人って高速移動して見境なくなるもんなんですかね、謎です。

特典のメイキング映像は結構ボリュームありますけど、本編の謎に対する答えが隠されているかも!という思いで全部見てしまいました(当然、答えなんて用意されていません)。アイドルたちが公園でライブするシーンのリハ映像で、アヤネ役の未来穂香が黒パンチラを披露していますが、本編では短パンに変更されてるなど、いらぬ配慮の痕跡が伺えます(笑)。そういえば彼女たちのテーマソングの「女子力わっしょい」が奇妙奇天烈な楽曲というか「曲なのか?」クオリティー。あれなら、僕が作った方がマシなんじゃないかしら。神は細部に宿るとも言いますけど、この辺のディティールがなおざりにされていると「予算も愛もないのかな」とついつい思ってしまいます。

脚本 ★☆
構成 ★
演出 ★
出演 ★★
特別 ★
【トータル:26点】

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高速ばぁば(2012)
監督: 内藤瑛亮(先生を流産させる会
上映時間 71分
製作国 日本
公開情報 劇場公開(トラヴィス)
初公開年月 2013/07/27
ジャンル ホラー
映倫 G
恐怖は寄生する…

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