『ハイスコアーガール』3巻:モラトリアムが引き伸ばされる

ハイスコアガール 3巻 押切蓮介

中学・高校生の時期を除くと、残りの人生なんてほとんど惰性で生きているだけなのかも……、と思えてくるほど『ハイスコアガール』3巻で描かれる恋の淡さは絶妙でした、なんか人生の醍醐味があの辺の時期に集約されているみたいな。あまりにハルオの青春する姿が眩くて、自分も中学生だったころの気持ちが蘇ってくるというか、ほとんど憑依されたような状態で読み終えてしばし放心。こんなに感情移入して読むことは想定されてない気もするけど(笑)。でも、思春期特有の研ぎ澄まされているんだけど、その反面とっても儚くて脆いみたいな感覚が思い出されてしまって、オッサンは今とっても感傷的な気分に浸っていますよ。ちょうど「思春期が終わったけれども壮年期が始まらない人達」とうのがホットエントリー入りしてるけど、この漫画のせいでモラトリアムが引き伸ばされそう。猶予期間なんて残っていないのにモラトリアムに縋り付こうとする症状、これを誘発する漫画。

先日の記事の補足として。 今、思春期の後半と言われている20代後半〜35歳ぐらいの年齢には、思春期という言葉と表裏一体だったはずの、モラトリアム*1という言葉があまり似合わない、と思う。それぐらいの年齢になっても進路や生き筋を自由選択できる幸運とタフネスを持った人もいないことはないが、あくまで幸運だったりタフだったりす...

以下、ネタバレ。

今回は、予想していたよりもハルオ・日高さん・大野さんの恋のバトルは激しくなかった、というかハルオは日高さんに興味がないから、二人の関係に限って言えば今後どうなるんだろう、発展性はあるのかな?という印象。

逆にビックリするほど進展があったのはハルオと大野さん。因縁のスト2決戦は、修学旅行先の関西で開かれていたスト2大会の決勝戦で相対するという演出。その後、彼女にリアルにボコられたりしつつも自分の恋心をついに自覚したハルオは、大野さんと同じ高校に進学して告白したいがために、なんとゲーム漫画にあって断ゲーを決意して受験勉強を開始するという信じがたい展開へ。

ガチンコで猛勉強をするハルオの姿に、「まさかこのまま大野さんとゴールイン?」と思わせられるも、やっぱり不合格。でも、この作品にあって軽妙さが押し殺されたシリアスな描写が続くので、青春度合が徐々に濃厚になってきて、かなりマジな恋愛マンガの様相を呈してくる。猛勉強が報われないハルオ、恋愛が成就されない日野さん、息抜き相手がゲーセンから消えてしまった大野さん、という3人のすれ違い状態に切なさが募ります、いや~この淡い恋模様がなぁ、たまんないスな。

正直、ラブコメ要素がここまでしっかり描かれるとは思っていなかったというのはあるけど、凄いキュンキュンくる。懐ゲーをありがたがる懐古趣味的な読みだけじゃなくて、今後の3人がどうなっていくのか。ストーリーの進み行きが気になるという意味でも4巻が早く読みたいです。

(ちなみに日高さんは隠れ巨乳なんだってw)




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