平野勝之監督『監督失格』:本当に失格かもしれない

考えてみると、ナチュラルにネタバレを織り込んだ映画レビューばかり投稿していて、今さらながら読者に警告もせずに小規模なテロリズムをずっと起こしていたことに気が付いたのは、この『監督失格』という作品についてもいつものように山場というかネタバレ部分を書こうと思ったからなのだけれど、それではなぜこの作品に限ってそんなことに自覚的になったか、いつものようにオチをあっさりと書くことはせずに躊躇したのかというのは、それをすると作品の強度がほとんど無くなってしまうから、ということに尽きるからだと思う。
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プラッチャヤー・ピンゲーオ『チョコレート・ファイター』:監督はキャスト・クラッシャー

ワイヤーアクションを一切使わずに役者の身体能力オンリーで勝負をかけるプラッチャヤー監督、そんな彼はいつの頃からか「キャスト・クラッシャー!!」の異名で呼ばれ映画界から怖れられる存在となった……ってなことは決してないんだけど、最後にエンドロールと共に流れるメイキングを観たらそういった狂気の宿った命名をしたくなる気持ちもわかって頂けるかと。面白い映像をキャメラに収めるためなら安全基準なんてクソ喰らえの狂犬マインドが、エキストラたちをビル壁面から地面に向けて多段式にぶつけて落とすというエグイ演出へ向かわせているとしか思えない。こんな行き過ぎた娯楽至上主義がいつかキャストを殺してしまうのではないのか!とポテチ片手にお手軽糾弾。「死人を出してしまうかもしれない撮影現場に一番近い!」という意味においても今後ともチェックし続けたい監督とそのメイキング映像なのであった。
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アンドレ・ウーヴレダル監督『トロール・ハンター』:おバカ映画じゃなかった

ノルウェーの森に潜むトロールをハントする謎の男を追う疑似ドキュメンタリー映画。「低予算で一発当てるならPOV一択」みたいな標語が業界内にはあるのかもって思えるぐらい、この手の主観ショットな作品がここのところ急増しているので食傷気味な感はありますが、そんな競合ひしめく激戦区にあってもこの映画が頭ひとつ抜けた仕上がりなのは、「トロール・ハンター」の作り込まれた設定自体が興味深いので見飽きないということが大きいのだと思います。日本版トレーラーが結構おバカな作りだったので、オチャラケ・トロール頼みのモンスターパニックアクションなのかと思いきや、山場以外でもしっかりとした脚本で戦っているかなり真面目で硬派な作品でした。
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スチュアート・セイガル監督『CBハスラー おっぱい もりもり大作戦』:おっぱい詐欺

 「休日を無駄に潰す5つの方法」とかそういう特集があったら積極的にこの作品を推していきたい。他所のレビューで酷い出来であるというのは知っていたので、自ら地雷原に踏み込んでいった形ではあるんだけど、それにしもて面白いほどつまらない脚本で感動した!「おっぱい」+「大作戦」という男のロマンス界における二大ビッグワードと、その間にねじ込まれた「もりもり」によってもたらされるワクワクハラハラな無限大の期待感、こんな妙技を使ったタイトルをこの作品に冠した代理店の罪はそれなりに重いと思う。

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伊藤俊也監督『女囚さそり けもの部屋』:フラグへし折る斜め上の発想力

 シリーズ3作目にして伊藤俊也監督による最後の「さそり」となった本作。『キル・ビル』公開当時タランティーノ監督が梶芽衣子の熱狂的なファンであることが話題になったけど、最近だと園子温監督が『愛のむきだし』で「さそり」を大胆にフィーチャーしてました。その安定した怪作っぷりと斜め上を行く演出の数々で多くの映画人にオールタイムで愛され続ける「さそり」シリーズ、今回も色々な意味で面白すぎてツッコミ疲れを起こすこと必至。

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アレクサンドル・アジャ監督『ピラニア3D』:おっぱい3D

 「3D映画で飛び出すべきものは、オッパイとオシリ」という明快な選出理由で映画秘宝の2011年度ベスト一位に輝いた本作。残念ながら2Dでの鑑賞となりましたが、僕の股間はしっかり3D化して……、とか書きたくなってしまうほどあけっぴろげパワー全開な作品。晴れ渡るビーチでおっぱいプルンプルンさせて踊る姉ちゃんたちによるダンスの祭典、その名も通称「おっぱい祭り」。そこへ地殻変動で地底湖に留まっていた太古のピラニアの群れが解き放たれてしまうことで、さあ大変、一気に血祭の始まりだぜッ!

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ウェス・クレイヴン監督『スクリーム4』:メタ化して過去を超克

 2000年の『スクリーム3』で完結したはずの本シリーズが不死鳥のごとく復活!……たぶん高校生のころに全部観てるんだけど、まったく内容を覚えてないことがこの作品のスゴイところ。でも、作中でなんらかのフォローがあるだろうから大丈夫だろとタカをくくってたら、過去の事件が公然の秘密的な扱いで、鑑賞者も知ってて当然的な奢りが……、これもスゴイぜ!さすが一大ムーブメントを起こしたホラーだけあって、そこらの二流映画と一緒にしてもらっちゃ困るというプライドがどことなく漂います。まぁ結局は皆殺し映画なのでシリーズ未見でも十分楽しめる作りにはなってます。簡単な話、過去の事件に巻き込まれた主人公が、それを題材として扱った本を執筆しベストセラー作家となって街に戻ってきたことで、悲劇が再び始まるという内容。

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ジェイソン・アイズナー監督『ホーボー・ウィズ・ショットガン』:養殖B級映画の味

 B級映画・エクスプロイテーション・ムービーを2,3本立てで流していた「グラインドハウス」と呼ばれるアメリカの映画館のノリを再現した、タランティーノ監督とロドリゲス監督の二本立て映画『グラインドハウス』。そのプロモーション企画としてフェイク予告編コンテストがあって、そこで栄えある優勝を掴んだことで誕生した長編映画がこの『ホーボー・ウィズ・ショットガン』。おっぱい出てこないけど、鮮血の切株映画ということで国内の最上級レイティングであるR18+の栄光までも掴んでおります。そういえば、珍しく子殺し映画でもある。

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デクラン・オブライエン監督『クライモリ デッド・ビギニング』:切株映画の様式美

 『クライモリ』シリーズ初挑戦でビギニングから入るというのも乱暴だけど、映画の作りはもっと乱暴だったので良しとしとこう(笑)。スプラッター苦手なのにこんな切株映画を借りて大丈夫かしらという心配も杞憂に終わったと言いうか、過激すぎるが故にリアルさを振り切って笑えてくるという(人肉スライスをオイル・フォンデュで美味しくいただくシーンなど)。

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