UK、Soft Machine、Gongといったプログレ系のバンドを渡り歩き、ソロアルバムも多く残したギターリストのAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)。プロギターリストの間でも卓越したプレイヤー、ミュージシャンズ・ミュージシャンとして常に名前のあがっていた彼が2017/4/16に亡くなりました、享年70歳。ご冥福をお祈りいたします。
各所で彼の訃報を受けて、追悼記事が書かれています。
個人的に高校生ぐらいでエディー・ヴァン・ヘイレン経由でホールズワースのことを知って以来、いまだにYouTubeで彼の作品やライブをよく視聴してますが、かなり老衰してきているということは聞いてましたけど、いざ亡くなったというニュースを聞いて相当にショックを受けています。
タワーレコードで買ってきたホールズワースの在籍していたバンドの「Tempest(テンペスト)」のアルバムをドキドキしながら聴いた思い出とか、昨日のことのにように思い出されてきますよ、悲しいったらありゃしない。
エドワード・ヴァン・ヘイレンが受けた影響
アラン・ホールズワースのことを愛してやまない人として有名なのが、上にも書きましたがエドワード・ヴァン・ヘイレンです。色々なインタビューでホールズワースに賛辞を送ってますけど、自身の機材を売って生計を立てるなど不遇をかこつホールズワースにエディーが援助を申し出てソロアルバム『Road Games』が制作された経緯なんかもあって、相当にエディーは熱が入ってました。
エディーが発明したというか有名にしたタッピング(ライドハンド奏法)に関しても、ホールズワースをコピーするために片手では届かなかったから右手を使う着想を得た、という風に言われたりすることもあるみたいですが、これはどうやらデマの様子。Wikipediaのホールズワースの項目にその辺の内容は詳しいので、興味のある方は読んでみてください。
一般の成人男性の2倍の指の長さがあるとか言われているホールズワースなので、彼のレガート奏法+ストレッチ奏法による独特なウネウネサウンド、ウネウネフレーズを真似るのはかなり厳しいものがあります。
それでもエディーがホールズワースのフレージングというか運指から影響を受けて真似たと思われるものがあって、けっこうエディーのギターソロパートではタッピング以上の大技かつキラーフレーズとして使われいるものがあります。個人的な感想としては、このフレーズ以上にテクニカルなパターンはエディー奏法にはほぼ無い印象。
まずオリジナルと思しきホールズワースの演奏から。27分37秒からのフレーズです。
こちらがエディーの演奏。指のストレッチ幅を抑えようとしてか、ホールズワースのオリジナルはメジャーだけどマイナーで弾いてます。3分23秒から。
ここぞという場面で活躍するフレーズ、超有名曲であるマイケル・ジャクソンの”Beat It”でも披露してます。8秒から。
ということで、「ホールズワースが最後に影響を受けたギターリスト」と語るエディーではありますが、真似るとなるとこのぐらいが限界?という感じみたいですね。
エディー曰く、というか多くのギターリストが「ホールズワースは何をどうやって弾いているのか分からない」と言っていて、理論的にも技術的にも本当に卓越したギターリストでした。
私的ホールズワース音源ベスト5
追悼の意を込めて、私的なホールズワースの楽曲ランキングを作ってみました。
第5位
The Mark Varney Project (MVP) – Truth in Shredding (1990)
T1. Rocks
チック・コリアなどともよく共演しているフュージョン系ギターリストのフランク・ギャンバレとのギター・デュエット、ギターバトルのような作品。とにかく派手で分かりやすいフュージョンソング。
ちなみに高校生のころに友達に貸したまま借りパクされたな、このCD。
第4位
Bill Bruford – One Of A Kind (1979)
T1. Hell’s Bells
『イエス』や『キング・クリムゾン』のドラマーとして知られるビル・ブルーフォードのアルバム。この曲はホールズワースのギターもいいけど曲そのものが可愛らしくて好き。
どうでもいいけど、初めてネットでホームページ作ったときのアドレスにBrufordって文字列入れてました。
第3位
Allan Holdsworth – Sand (1987)
T6. Mac Man
ホールズワースのソロ・アルバム作品”Sand”に収録されている楽曲、打ち込みピアノによる機械的な高速パッセージとその後に控えるホールズワースのギターソロという構成。けっこうエモーショナルなソロを聴かせてくれます。ちなみに本作ではSynthAxe(シンタックス)というギターシンセサイザーのような楽器が全面にフィーチャーされています。特殊な楽器過ぎてホールズワースぐらいしかまともに弾きこなせなかったとか、そんな話があった覚えが。
第2位
Allan Holdsworth – Road Games (1983)
T1. Three Sheets To The Wind
1:08から始まるギターソロ、好きなギターソロベスト5に入ってます。これまた高校生ぐらいの話だけど、初めて聴いたときにえらい衝撃を受けた記憶があります。
第1位
U.K. – U.K. (1978)
T1. In The Dead of Night
ホールズワースはこのアルバムに参加したのみでこのバンドを去ってしまってますが、とにかくU.K.の顔とも言える名曲。7/8拍子なんだけどキーボードやベースなど拍の頭が違ったりでポリリズム感もありつつの緊張感のある曲調、そこに乗っかってくるホールズワースの音数少なく始まるギターソロが、徐々に盛り上がっていってとてつもないドラマチックな展開を聴かせてくれます。このアルバムもMD割れるぐらいよく聴いたなぁ。