ここのところ立て続けに「最近、音楽なに聴いてる?」と尋ねられる機会があって、「う~ん、なんだろ?」と答えに詰まってしまったので、整理も兼ねて今年一番聴いた音楽を振り返ってみました。積極的に新しい音楽を開拓して聴く方でもないので、2016年に発売された音源というのではなく個人的に今年よく聴いた作品で3曲ほどピックアップしました。(音楽カテゴリー作ったから、気軽にこういう記事書けるようになりました)
もくじ
Plini “Away”
まずは1曲目、Pliniというオーストラリア出身のアーティストによるギター主体のプログレ/フュージョン系譜の作品。1992年生まれで現在24歳、若い世代でガッツリとギター弾いてくれると嬉しいですね。僕の世代ぐらいは、ちょうどギターの速弾きとか「ピロピロ」と蔑まされてダサいの代名詞みたいな感じになっていたので、ぜひとも頑張ってほしいです。
既に数枚のアルバムを出していて、今回紹介する”Away”は”Sweet Nothings“(2013年)の3曲目の楽曲。アルバムはPliniの自宅ベッドルームで作られたということでDTMerや宅録派には実に刺激的な情報。しかも、アルバム収録曲の特定のギターソロパートやピアノを除いて、すべて自分で弾きこなしているということに圧倒されます(ミックス・マスタリングも自分でやってるっぽい)。新世代版アシュ・ラ・テンペルのマニュエル・ゲッチングみたいな感じか。
この”Away”に関しては、YouTubeとかにあるライブ版の映像を見るとあきらかなんだけど、イントロはほとんど両手タッピングでギターを弾いていて、4/4だけど全編通して変拍子に聞こえる面白いリズム(展開部分からはふつうに変拍子)。
特筆すべきは、この曲の終盤に待っているギターソロ(弾いているのはPliniではなくStephen Tarantoという方)で、スタッカートの効き方がヌーノ・ベッテンコートを彷彿とさせられる歯切れの良さ、さらにその後に続く流麗なパッセージとの緩急が本当に聴いていて気持ち良いです。自分の知っているギターソロのベスト3に入るほど素晴らしくて、これを聴くためにだけにアルバムを買う価値があると思います。

Pliniのオフィシャルサイトにあった上記の写真ですが、エフェクターはFractal Audio Systems Axe-Fx IIを使っています。ちなみにPliniのシャレオツなアンビエント系の音色を排してプログレッシブメタルに寄せた超絶テクニカル系のバンドであるAnimals As Leadersですが、こちらのギターリストであるトシン・アバシ(8弦ギター奏者としても有名)も同じエフェクターを使用していました。この機材があれば次世代感のあるギターサウンドが手に入るのかもと思って探したら、38万円とかして諦めた記憶があります(´・ω・`)
Beautiful shot of the limited edition .strandberg* Boden OS Plini signature guitar with a #koa top & @SeymourDuncan pickups. 📸 by @hadzuki.n pic.twitter.com/18mD1m4bmc
— Strandberg Guitars (@strandbergGuit) 2016年11月25日
ちなみにギターはstrandbergのBoden OS “Plini”モデル、スタインバーガーのようにヘッドレスタイプのギターですが、ブリッジはトランストレムではないです。特徴としてはマルチ・ハイブリッドスケール、ファンフレット(フレットが斜めに打ってある)など、上記のトシン・アバシも使用しているようです。
で、Animals As Leadersって書いて思い出したけど、彼らの楽曲である”Mind-Spun”も今年けっこうハマって聴きました(笑)。アラン・ホールズワースとイェンス、アンダースのヨハンソン兄弟のコラボした異様に暴力的なアルバム”HEAVY MACHINERY”を思い出しましたよ。
Snarky Puppy – Lingus
YouTubeでジャコパス聴いてたら、レコメンにマイケル・リーグというベーシストの教則動画が出てきて、そこから知った彼の母体バンドであるSnarky Puppy、ジャンルとしてはアフロ・ジャズ・ファンク・コレクティブなのだそう。その中から”Lingus”という楽曲が出色の出来栄えに感じました。特にこの曲、中盤から変拍子になってガラッと雰囲気が変わるんだけど、YouTubeのコメント欄にも「4:18からが本編」みたいな書き込みがあります。かなり変態的なキーボード・ソロを聴くことが出来ます。
「彼らが好きなのはマイルス・デイビスである」とか「次世代のウェザー・リポート」など同じくコメント欄に書かれていますが、印象的にはチック・コリア率いたReturn to Foreverの『浪漫の騎士』が近いかなと感じます。レニー・ホワイト的なドラムの手数の多さとパーカッションの絡みと、なによりこのヴァージョンのキーボード・ソロがチック・コリアっぽい(スケールとか手癖とかの話じゃなくて音色的に…、いや音だけならむしろジョー・ザヴィヌルか?)。で、なにより素晴らしいのがホーンセクションで、とにかくカッコ良くてリズムも面白いです。キーボード・ソロを終えた後の入りとか鳥肌たちますね。とにかく聴いてみて欲しい曲!
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Carly Rae Jepsen – I Really Like You
これは、去年ごろだったかLINE MUSICのCMでも使われていたので(小松菜奈が踊ってて可愛いやつ)、今回の選曲の中では圧倒的に有名曲だと思われますが、カーリーの声が若干ハスキーにかすれる感じがたまらないです。トラックは4つ打ちのEDM風な作りながら裏で小さくパーカッションが鳴っているのがいい味出してます。
サビが”I really really really really really really like you”と執拗なまでの「とっても」尽くしで、バカっぽい感じがしないこともないのだけど、テイラー・スウィフトとかと違って若干の遅咲き感のあるカーリーがこれを歌うことの重み、あとMVで還暦を迎えたトム・ハンクスが口パクしてその歌詞を歌う姿、そういったものに僕はパワーをもらいましたね。オジサン・オバサンでも恋をしていいんだなと。
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