初電子書籍で『今晩から電子作家デビューできる本』、自分も……。

 電子書籍元年と言われる2010年も終わりに差し掛かってきて、なんだか乗り遅れた感があったものの、まぁ読みたいものも特に無いしiBooksも洋書ばかりで食指は動かないし、端末競争とか盛んな現状だと黎明期でもあるし、まだまだ様子見かなと思っていましたが、そんな矢先、興味深い作品がポンポンと見つかったので早速iphoneにて初の電子書籍体験へ。まだ使いこなせているとは言えませんが、感想としては紙面よりも案外気軽に読めるし字も見やすいので、端末さえ整えば普及していくことは間違いないと思います。



 ちなみに購入した書籍データは下記の2作品で、出版・音楽業界の変革、というかこの大掛かりなパラダイム変換期にどう対峙して生き抜くか……、といった創作活動から対価を得る暮らしを考えている人間にとっては非常に参考になる内容でした。広告を大量に打っても収益につながらないとか、業界の尻すぼみ化は惨憺たる状況であることは随分と言われてるし、音楽なんて無料でナンボ、CDなんてオタク専用のグッズ、といった急進的な意見も聞かれる昨今にどう立ち向かっていくのか。果たして音楽に携わる人間はもう昔のように食べていけないのか。問題はいろいろあります。

 「これが答えだ!」なんてものは現状では見えないし書かれてもいないけれど、僕の考えとしては音楽に限って言えばテレビの衰退に伴ってコミュニケーションツールとしての大衆的な音楽の売れ方は減り、一大産業そのものを支えていた軽度なファンたちの音楽離れが進行する一方で、流行モノに囚われないマイウェイで熱心な音楽ファンが好きなアーティストを着実に支えていくという構図になっていくんではないでしょうか。

 ・『Ken Yokoyamaと語る2010年の音楽業界』


 ・『今晩から電子作家デビューできる本 ~ニコ生発・電子書籍という試み』

 出版界について言えば、ちょうど大学時代の友人が、はてなダイアリーにて自作の小説を売るという活動を始めたことも重なって、自分も過去に書き溜めた小説を発表したいという気分が高まっていたのでした。共に新人賞に応募したりして何次選考突破とか同人誌に掲載、なんて事を話していた間柄で、つまり二人とも文壇での作家デビューに憧れていました。それで、もう一人知り合いで講談社BOXから作家デビューした人がいて、彼は新人デビューの向こう側を垣間見せてくれた、というかその活動を眺めていると小説一本で食べていくことの難しさがなんとなく伝わってくる感じなわけです(憶測の上でこんなこと書くのは申し訳ないけれど)。大学時代の教授の教えの中にも、「若いうちにデビューするな、生き残れないから」という一家言があって、未だにそれが耳の奥でこだましている……。
 
 そんな実情を踏まえた上で、「今晩から電子作家デビュー」の一文は惹かれるものがあって、文壇での新人デビューではないけれど自作小説を簡単に電子書籍として発表できる上に、値段を設定して販売することもできるという仕組みまであるので、要するに簡易的に作家活動を実現してくれてしまわけです。職業作家で一本立ちは難しくても、サイドワークとしての作品発表なら自分にも出来るし、とりあえず友人・知人以外からの評価も知りたい。それに過去に書いた作品がいくつかあって眠らせておくのももったいない。これはもうリスクも阻害要因も何もないというわけで、近いうちに小説をアップしてみようかと思っております。故に応援よろしく(笑)。

 【写真】
 綿矢りさの『夢を与える』サイン本。まだ電子書籍で小説は買ったことが無いので『勝手にふるえてろ』を買ってみようかな。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で