『アイアン・スカイ』:月はアメリカの領土!

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Iron Sky アイロン・スカイ

月の裏側で活動を続けていたナチスの残党が地球に攻めて来た!というダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン譚。主演女優のレテーナ観たさでの鑑賞だったけど(冒頭でのパンチラ・パンモロはとても良いと思いました!)、おバカ映画として色々と詰め込みやすかったことが功を奏して、端的で分かりやすい政治風刺も見どころとなっている。「誰が悪者なのか?」という視点で見ていると、ただのSFコメディーでは無い仕上がりで、まあ早い話がナチスも現代のアメリカも結構似たモノ同士として描かれている。


アイロン・スカイ ペイリン大統領 iron_sky_palin
“Yes she can!”のキャッチフレーズで次期大統領選挙戦のキャンペーンを張る保守派の女性大統領。この役者さんがサラ・ペイリンにそっくり過ぎて笑えるんだけど、彼女は話題集めのために”Black on the Moon?”という46年ぶりの有人飛行計画を打ち立て、アフリカ系アメリカ人のジャームズ・ワシントンを月に送り込む。そこであえなく月面ナチスに見つかった彼は、捕虜としてリヒター博士から何本もの注射を打たれるハメにあう。実在した「死の天使」で有名なヨーゼフ・メンゲレ医師の「双子の目の色を変える実験」を踏襲してか、瞳の色と肌の色を変色されて白人化させられるジェームズ。さすがにデリケート過ぎてユダヤ人の強制収容所やホロコーストに類する描写は出てこないけど、人体実験描写としてユダヤ人の代替役に黒人を持ってくるのもかなりキワドイ(彼には最後に救済があるけど)。とにかく白人化してしまったジェームズは、ナチスに洗脳されたフリをして「大統領とお友達」と偽り、地球侵略に備えた備品調達へ乗り出すクラウス准将のUFOに同乗が許されなんとか地球の帰途へ。(ジェームズの持っていたiphoneが月面ナチスの最終兵器「神々の黄昏」の動力源になるというおバカな設定なんだけど、バッテリーが切れてしまいもっと必要だということで略奪しに地球へ……、それで持って帰って来たものはipad笑)

その頃、ペイリンそっくりな女性大統領の広報担当ヴィヴィアンは、碌なキャンペーン広告が作れない部下たちを鬼の形相で「ファッキン!ファッキン!」罵りまくり中。スティーブ・ジョブズを彷彿させられる彼女は、地球にやってきたクラウス准将とレテーナの強烈なキャラクターに毒され「これはキャンペーンで使える」とひらめく。レテーナのナチスに対する「愛」の演説を誤解しての起用で、星条旗をバックにナチスの軍服を着たクラウスが映っている広報用ポスターなんかが作られることに。これはアメリカ保守派とナチスの選民思想に傲慢さの共通項が見出されるという暗喩をほのめかしているのか、とにかく皮肉が効いていて毒々しい。

アイアン・スカイ Iron Sky
その後、「地球にナチスが侵略してくる!」と騒ぎ立てる元黒人のジャームズにナチスの素晴らしさを理解してもらおうと、『チャップリンの独裁者』を観に行こうと映画館に彼を誘うレテーナ。しかし、月面の秘密基地で観ていたものは10分に編集・検閲された内容で「あんなに長かったなんて……」とむしろ彼女の洗脳が解けることに(チャップリンは最後の演説シーンを撮るためにわざわざ彼にとって初のトーキーにしている)。そうこうしているうちに、ついに地球に侵略を開始する月面ナチスと地球軍の全面戦争へ。各国の首脳が招集された会議の議長国は当然アメリカ・ペイリンさんなんだけど、その国家としての独りよがりっぷりが見どころで、宇宙でのドンパチと双璧をなす出来栄え。「月はアメリカの領土!旗だって立ってるし!」ということで、月面ナチス崩壊後に「ヘリウム3」という新しいエネルギーが月に埋蔵していることを知ったときの領有権の主張の仕方とか、おバカこの上ない幼稚な発言もアメリカの実態とそうかけ離れいない感があって驚き。で、本作ではこの発言がきっかけとなり首脳会議は修羅場を迎え世界核戦争に突入、荒廃しきった地球が大写しというシニカルなエンディングを迎える。他にも「任期中に戦争が起きた万歳!」みたいな、アメリカがいかにも思っていそうなことを大統領本人に言わせてしまう愉快さ。

「テロリストには屈しない!」という宇宙戦争中のアメリカの独断によって、女・子供がいようが容赦せずに核爆弾を投下されたナチス月面秘密基地の方も全壊状態。でも、ここで生き残ったジェームズとレテーナはついに結ばれ熱いキスを交わす。二人による人種の壁を越えた友愛・博愛精神によって、他の生き残りである基地の人間たちと一緒に人類の再建を月面で試みる、そのような真の人類愛への目覚めがテーマとして最後に浮き上がる終わり方だった。

映画秘宝から早速『別冊映画秘宝 ナチス映画電撃読本』も出てるし、これを読んでもう一度ネタ元探し&発見で観たいところ。

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アイアン・スカイ(2012)
IRON SKY
監督: ティモ・ヴオレンソラ
上映時間 93分
製作国 フィンランド/ドイツ/オーストラリア
公開情報 劇場公開(プレシディオ)
初公開年月 2012/09/28
ジャンル SF/アクション/コメディ

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